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高崎市の観音山にある洞窟観音に潜る【群馬】

洞窟観音

群馬県高崎市の洞窟観音に行ってきました。

新潟県柏崎市出身の山田徳三(1885~1964)が自らの私財を投げ打ち完成させた『観光参拝所』です。人力のみで掘削したもので総延長は400mほどあります。地元の人々が観音巡礼(札所巡り)を気軽に行えるように、また高崎市の観光振興を目指して事業を始めたとのこと。

観音像は新潟県魚沼出身の高橋楽石、楽山の二名によって彫像されました。

 

アクセス情報

住所は高崎市石原町2857。カーナビ搭載の車なら洞窟観音か山徳記念館と検索すれば目的地にたどり着けます。高崎インターチェンジから25分~30分くらい。電車なら高崎駅から洞窟観音行きのバスが出ています。

洞窟観音は名前の通り約400mの洞窟に石仏観音がずらーっと並んでいる霊場です。

特に夏場の訪問をおすすめします。なぜなら洞窟内は天然のクーラーで温度が低く涼めるからです!しばらく外に出たくなくなることでしょう。

それでは内部の石仏を見ていきましょう。

 

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六観音像とは?

洞窟観音

仏教はかなり複雑で宗派により思想が違うので非常に難しいです。今から紹介する六観音も宗派によって七観音や八観音になっていたり、全く観音様と入れ替えられたりしています。なので今回は真言宗をベースに説明、紹介します。

真言宗の中でもいろいろな説があるようです。でもキリがないのでそこらへんは適当に進めます。

後述文の中に天界道や地獄道などの専門用語が出てきます。簡単に説明しますと六種類の迷いの世界のことを指し、総称して六道と呼ばれています。

・天界道・・・満ち足りた世界

・人間道・・・私達がいる世界

・修羅道・・・争いが絶えない世界

・畜生道・・・本能だけで生きている世界

・餓鬼道・・・常に飢えに苦しむ世界

・地獄道・・・苦しみしかない世界

そして六観音にはそれぞれ担当場所があって摂化(命あるものを救う)しています。

それでは参りましょう!

 

如意輪観音(にょいりんかんのん)

洞窟観音

人々を苦悩から救い、あらゆる願いを叶える観音菩薩。『如意』とは意のままに智慧や財宝、福徳もたらす如意宝珠という宝の珠のことであり、『輪』は煩悩を打ち砕く法輪を指しています。その二つを手に持った観音菩薩ということで如意輪観音といいます。

智慧、財福、福徳授与、安産、延命のご利益があるとされます。

現地案内板より

天上界を摂化しています。

人々を苦悩から救い全ての願いを叶える観音菩薩。

 

十一面観音(じゅういちめんかんのん)

洞窟観音

苦しんでいる人をすぐに見つける為に、頭上に十一の顔を持ち、様々な表情で全ての方向を見守っています。十種勝利(現世利益)と四種果報(死後成仏)という様々なご利益がありとても人気のある観音様です。

様々な災難、病気治癒、財福授与、勝利を得るなどの現世利益があり、延命、地獄に落ちない、極楽浄土に行ける等のご利益があるとされます。

現地案内板より

修羅道を摂化しています。

インド神話の暴神アスラ(ルドラ)が仏教に取り入れられたようです。多数の顔を持ち困窮している衆生をすぐ見つけ救います。現世でのご利益、来世でのご利益があるといわれます。

至れり尽くせりの観音様です。

 

千手観音(せんじゅかんのん)

洞窟観音

文字通り千本の手を持たれその各々には眼が付いている為千手千眼観音とも称されています。これはこの世のあらゆる出来事を見通し、もれなく救済の手を差しのべる為に千本の手を持たれていらっしゃるのです。普通は16本や42本のものが多いということです。

現地案内板より

餓鬼道を摂化しています。

眼が付いた1000本の手を持ち全てを見渡し全てを救うという偉大な観音様。

観音様の中でも功徳がずば抜けているので蓮華王と呼ばれることもあります。

 

馬頭観音(ばとうかんのん)

洞窟観音

動物達の守護仏であり、怒りの形相で悪を粉砕する観音菩薩。ヒンドゥー教の最高神・ビシュヌが馬の頭に変化して敵を倒したとされる神話が起源とされます。

他の観音様が女性的な美しい表情であることが多いが、馬頭観音は怒りの憤怒の形相で表され、馬頭明王と呼ばれることもある。怒りの激しさによって苦悩や諸悪を粉砕し、馬が草を食べるように煩悩を食べ尽くし災難を取り除くとされます。六観音の一つに数えられ、畜生道に迷う人々を救済し、また、家畜の安全と健康を祈ったり、旅の道中を守る観音様として信仰され、道端に石の馬頭観音像が置かれたりもしました。昔は馬は武家も農民も生活の一部となっており、馬を供養する仏としても信仰されました。

無病息災、動物救済、厄除け、旅行安全のご利益

現地案内板より

畜生道を摂化しています。

基本憤怒しています。怖い観音様かと思いきや激しい怒りで苦悩や悪を粉砕する独特な特徴を持った観音様です。

極まれに優しい顔を見せるツン9割、デレ1割な可愛い一面を持っています。

 

聖観音(しょうかんのん)

洞窟観音

全ての観音菩薩の基本形。別名、観音菩薩(かんのんぼさつ)とも呼ばれ、人々を常に観ていて救いの声(音)があれば瞬く間に救済する、という意味からこの名が付けられ、日本でも多く信仰されました。苦しんでいる者を救う時に千手観音や十一面観音などの六観音や三十三観音など、様々な姿に身を変えて救いの手を差し伸べます。

六観音の一つに数えられ、地獄道を迷う人々を救うとされています。単独で祀られることも多いが、阿弥陀如来の左脇侍として勢至菩薩と共に三尊で並ぶこともあります。

ちなみに般若心経は観音菩薩の功徳を説いたもの。

苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、開運、極楽往生とても幅広いご利益があるとされています。

現地案内板より

地獄道を摂化しています。

人間離れをした姿をしている他の六観音と違って我々に近い姿をしている観音様。

特技は変身。色々な観音様に変身することが出来ます。要は観音様の基本形ですね。

 

准胝観音(じゅんていかんのん)

人間道を摂化しています。

六観音紅一点の女尊です。仏の母で出産関連の功徳があります。洞窟内隈なく撮影したつもりだったのですが准胝観音がいませんでした。もしかすると撮り忘れたのかもしれませんね。

お次は三十三観音を見てみましょう。

 

三十三観音とは

古代インド人(ヒンズー教)にとって3は崇高な数字でまた多数という意味を持っていました。

3に3を重ねて出来た記号の∞(無限)は神聖で限りなく多いということを表現しています。

つまり三十三観音は無数の姿を持ち、私たちを救って下さるという意味になるわけです。

 

楊柳観音(ようりゅうかんのん)

洞窟観音

右手に持つ柳の枝で悪病を祓い清めるご祈祷があります。除病を本誓とする観音薬王観音(ママ)ともいいます。

現地案内板より

柳の枝を持った観音様で病気を清める観音界のお医者さん。薬王観音という別称もあります。

 

龍頭観音(りゅうずかんのん)

洞窟観音

龍の変化身で慈しみの観音。天竜夜叉に変化した姿で、天空に渦巻く雲中の竜の上に立ち、『竜』は空想的霊獣の中でも王とされ、これを観音の功徳に例えた物です。

現地案内板より

聖獣王の龍の背に乗っています。

龍が背を許した凄い功徳を持った観音様というわけです。

 

持経観音(じきょうかんのん)

洞窟観音

釈尊仏陀の説法を弟子にあたかも直接拝聴させる事ができます。岩に坐り手に経典巻を持ちます。この経典には如來の説法のすべてが込められており声門を教化する姿を表します。

現地案内板より

仏教の基礎を持経観音から授かることが出来ます。

 

円光観音(えんこうかんのん)

洞窟観音

円光とは頭の後ろから丸く輝く光明をいいます。頭光、頂光、後光、常光などともいわれ、観音の清浄で智慧に満ちた大慈大悲の光を象徴しています。尽きる事のない光と輝きにより生きるものを浄土に導くと云われます。

現地案内板より

とのこと。

 

遊戯観音(ゆげかんのん)

洞窟観音

ゆうげ、ゆうぎ、とも読まれます。遊戯とは仏の境地に徹してなにものにもとらわれず、自由自在であることを意味します。信ずることより、高い所から落ちても助かる話から、ゆったりと五色の雲の上に坐って中に浮いている観音です。

現地案内板より

遊戯は仏の境地に達し何者にもとらわれず自由自在であることを意味します。雲の上に座っています。万が一高いところから落ちても死なないらしいです。きっと私たちのような旅人を雲上から見守って下さる観音様なのでしょう。なんせ自由人観音ですからね。

 

白衣観音(びゃくえかんのん)

洞窟観音

阿弥陀如来の妻であり、観音菩薩の母といわれる菩薩です。

語源が『白い衣をまとう』という意味であり、その為白衣観音と名付けられました。

三十三観音に数えられ、阿弥陀如来の妻といわれています。又観音菩薩の母でもあり、中国で特に信仰されました。

息災除病、子受け、安産のご利益があるとされています。

現地案内板より

現地案内板が若干バグっている気がします。

高崎市のシンボルだから強調したかったのかな?

 

 

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蓮臥観音(れんがかんのん)

洞窟観音

蓮華に坐り完全に横を向いている姿が特徴です。清浄な池の蓮華の上に坐臥することから付けられた名前です。『観音経』に『小王の身をもって得度すべきものには、すなわち小王の身を現じて、ために法を説き』とあります。

現地案内板より

横を向き蓮華に座し合掌する観音様。

応以小王身得度者。即現小王身。而為説法。

観音経より

王とは人間界の王様のこと。

 

瀧見観音(たきみかんのん)

洞窟観音

深山幽谷の岩上に静かに安座する姿で瀧を見ています。悪意に満ちた火焔が瀧の飛瀑の力によって鎮火し清められていることを表しています。

現地案内板より

滝を見ることで悪意の炎が鎮火し清められる様子を表す観音様。

『ちょっと滝でも眺めて落ち着こうぜ!』ってな感じです。

 

施薬観音(せやくかんのん)

洞窟観音

水の辺の岩上に座し蓮華を見ています。観音様は、病人に薬を施すがごとく苦を救うことから、この名がつきました。

蓮は苦悩と悟りとの縁を象徴します。

現地案内板より

施楽観音ともいわれ、苦しみを除き楽を与えます。

 

魚濫観音(ぎょらんかんのん)

洞窟観音

魚売りの美女が観音様であったという中国の説話にもとづくものです。『邪悪な鬼や毒蛇に遭遇しても、この観音を念じればたちまち無害になる』と云われ、特に安産を始め、女性特有の頓悩(ママ)を除去し、航海の安全をもたらす観音様です。

海上安全・大漁祈願・安産祈願

現地案内板より

『女性』『魚売り』から連想されたご利益を持っています。

頓悩は煩悩の間違いかな?それともそういう言葉があるのかしら。

 

徳王観音(とくおうかんのん)

洞窟観音

岩に坐り柳の枝を持ちます。常・楽・我・淨の四徳を備え優れているので、徳王と名づけられました。帝釈天と共に仏法を守護し、釈迦如来に悟りの内容を布教することを勧められたという観音様です。

現地案内板より

梵王(古代インドの世界創造主)の姿に変化して釈迦に『悟りの内容をみんなに教えてあげなよ!』といった観音様です。

 

水月観音(すいげつかんのん)

洞窟観音

月下の水面に浮かぶ蓮の華弁の上に立って合掌されているのは、月を大自然の象徴とし、一体となっていることを表しています。我執や妄念をみじん持たない自然の移り変わりが悟りの中心であると訴えておられます。

水月観音は月であり、月に照らされる者は救われるとされます。

現地案内板より

月下の水面に浮かぶ蓮に立って合掌、もしくは岩上から水面に映る月を眺めている観音様。

月と仏教は深い関係にあります。『月のように凛として落ち着いた心を忘れずに持とう』

なんだかロマンティックな観音様です。

 

一葉観音(いちようかんのん)

洞窟観音

水上の蓮華に座る姿は船に乗っているように見えます。水難から救って下さる観音様で、空海、円仁、道元の祖師方が航海中、観音の守護を得たとする説話があります。

水難救助・暴風雨の難を避けるとされます。

現地案内板より

曹洞宗の道元禅師と深い関係のある観音様。

水上の蓮華に座っていることから船を連想させ水難から救ってくれるとされています。

 

青頸観音(しょうきょうかんのん)

洞窟観音

原型はシヴァ神と云われています。シヴァ神には毒を飲んで頸が青く変色した話があります。慈母の如くに、他人のために一切衆生の災難をとりはらい繁栄を与えてくださる観音様です。

現地案内板より

インド神話の破壊神シヴァ神が原型だそうです。

シヴァ神が毒を飲み込んで世界を救ったという伝説が由来しているみたい。

 

威徳観音(いとくかんのん)

洞窟観音

左手に蓮華をもち岩上より水面を見る姿をしています。

観音の威厳と徳望とがまさに天の大将軍の如く優れていることを示し、正しい教えを広める威徳に因んだ名であります。威厳と人徳=威徳。強い意志を持つ様になれるとされます。管理職の助っ人。

現地案内板より

左手に蓮華を持ち岩の上から水面を眺める堂々とした観音様。

応以天大将軍身得度者。即現天大将軍身。而為説法。

観音経より

威厳と徳を表しています。

 

延命観音(えんめいかんのん)

洞窟観音

岩上に肘をつき手を右の頬につけ、水上を見る姿をしています。20の手を持ち20種の救済方法を用いて、呪いや薬の害から逃れる功徳があると云われます。

現地案内板より

20の手を持ち20種の救済方法を用いて衆生を救う観音様です。

呪詛や毒を避け延命させる力があるといいます。

 

衆宝観音(しゅほうかんのん)

洞窟観音

羅殺の難を救う観音様です。衆宝は宝が沢山あるという意味で、財宝を求めて苦境に遭っている時、一人でも観音を念ずるとその場に居合わせる人全員が救われると云われます。

現地案内板より

衆宝とは『多くの宝』の意味で現世の金銭や出世に対して御利益がある観音様。

ただし正しい功徳を積んでいない衆生には振り向いてくれないそうです。

 

岩戸観音(いわとかんのん)

洞窟観音

毒蛇の住む岩戸に坐ります。江戸時代に日本で創案されたと云われます。大蛇の化身であり、毒蛇の悪気も観音の力で消滅するとされます。

現地案内板より

大蛇の化身で毒蛇の邪悪な気を観音パワーで消滅させるそうです。

 

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終わりに

洞窟観音

最後に観音菩薩について簡単に説明します。

観音菩薩は如来(仏)になるため修行をしている身分です。ゆえに同じ仏道を歩みながら導いていただけるということで信仰の対象になりました。私たち衆生とかなり近い関係なんですね。

ここに記載した観音様以外にも様々な観音様がいらっしゃるので、気に入った観音様を選んで共に歩むのも楽しそうですね。

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