福島県南会津郡下郷町にある廃墟、湯野上観光ホテル(通称・下郷ホテル)。
ネットの情報によると開業は1981年頃(昭和56)と紹介されている。
2007年(平成19)10月発刊の朝日新聞に湯野上観光ホテルについての記事がある。引用不可なので要約しよう。
2007年(平成19)の10月に旧湯野上観光ホテルで火災。出火元は鉄骨3階建ての2階部分であった。
ホテルの客室は31部屋で1983年(昭和58)に営業を停止。以降、廃墟となっていた。
1999年頃(平成11)にも火災があったそうである。
ネットの情報が正しければたった2年で閉館したということになるが、この短期間でいったい何があったのだろうか?
心霊スポットの噂
湯野上観光ホテル(通称・下郷ホテル)には心霊スポットの噂がある。
地下室に生首の霊が出るとか、落ち武者の霊が出るなどと囁かれているようだ。生首はよくわからないが、落ち武者の霊は戊辰戦争と関連付けるオカルトサイトを見かけた。
調べてみると戊辰戦争で日光口から進軍した官軍(佐賀藩・広島藩・大田原藩・宇都宮藩の混成軍)が会津西街道(藤原→五十里→横川→山王峠→糸沢→田島→大内→関山→本郷)のルートで旧幕府軍と争いながら鶴ヶ城下に侵攻している。
『田島→大内』間が湯野上温泉に近いのだけれど、当時の街道から外れているため軍隊はここを通過していないと思われる。
落ち武者というくらいだから『戦線を離脱した兵士がこのあたりに落ち延びて云々』みたいな話が伝わっているのならば、噂の根拠として成り立つのかもしれないが、どうだろうか。
慰霊碑の存在
廃墟のそばに置かれている慰霊碑。これが噂の根拠のほとんどを占めるのではないかと思う。
この慰霊碑は1959年(昭和34)11月に起きた二川橋の落橋事故の殉職者の霊を慰めるものでほぼ間違いない。
事故の概要は以下である。
鉄骨を組み合わせる作業中に鉄骨を吊っていたワイヤーが切れる。
これにより両側の支柱が倒壊し落橋。
資材とともに作業員7名が30m下を流れる大川(阿賀川)に転落。
結果、5名が負傷、2名が死亡した。

廃墟のすぐ近くに慰霊碑があったら、幽霊を信じていない人でもちょっと不気味に感じますよね。
湯野上観光ホテルと慰霊碑に直接的な関係はないけれど、心霊スポットの噂が立ってしまった理由が察せられます。
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