北九州市小倉南区の道原地区にある菅生の滝。この滝は福知山を源流とする紫川の上流に位置する。三段の滝からなり、上段の滝は落差30m、これは北九州市内では最大落差との事。夏はアウトドア派の方々が集まりそこそこ込み合う。
さて、本題。
菅生の滝は心霊スポットとして知られているようだ。何が原因でそのような噂が流れているのか?
気になったので実際に訪れて調査してきた。
菅生の滝へのアクセス
九州自動車道小倉南ICから自動車で20分程。滝に近づくにつれ道が狭くなるので運転気を付けて!
駐車場から10分くらい歩けば滝に着く。
菅生の滝について
まずは滝の様子から。
圧倒されるような瀑布ではないが、繊細で美しい滝だと思った。
諸説ある滝の由来を見て行こう。
菅生の由来
上段の滝の左に不動明王像が安置されている。
滝に不動明王が安置されているということは、かつてここが修行の場として使われていたことを表している。2002年(平成14)6月8日の読売新聞西部朝刊に菅生の滝の由来と修験者について書かれていたので要約しよう。
滝の下流にある修験宗・菅王寺住職のお話。
昔、滝の周りには修行をする山伏48人の住まいがあったとされている。
寺には菅生の滝の由来が伝わる。
1400年前に朝鮮半島から百済の菅王子がやってきて滝で修業をした。王子は若くして亡くなってしまう。百済から王子を探しに来た僧侶たちが亡くなったことをしり霊を弔って祠を建てた。それからこの滝は菅王子の滝と呼ばれるようになった。
また『菅王子説』の他に以下の説も存在する。
・滝の周りに菅の草が生えていたから『菅が生える説』
・清い川なので清川(すかわ)と呼ばれていたがいつの頃からか菅生(すがお)になったという『清川説』
・滝のしぶきで化粧が落ちて素顔になる『素顔説』
この中に菅生の滝を心霊スポットと結び付けたと思われる説がある。
それは素顔説だ。
香月の姫と菅生の滝について
菅生の滝には『香月の姫と菅生の滝』という悲恋物語が存在する。
香月の里に歌が上手な美しい姫がいました。
姫に恋をしていたクマヒコ。彼は想いを伝える歌をしたため姫の屋敷の梅の木に吊るしました。
姫は歌に感動し恋心を抱きます。誰が書いた歌か分からなかったので探しまわっているとツタマロというお金持ちが『自分の歌だ!』と名乗りを上げました。姫はツタマロにまんまと騙され二人は結婚してしまいます。
それを知ったクマヒコは絶望して滝に身を投げ死んでしまいました。
それからというものの姫は頻繁に高熱に侵されある夢を見るようになります。夢の内容は『シロヘビに巻き付かれて滝壺に沈められる。』というものでした。体調を崩した原因はこの夢にあるのではないかと考え、真実を知るため滝に行く決意をします。
姫を心配した夫のツタマロは里の古老に助言をもらいます。古老は『姫がシロヘビに気に入られてしまったのだろう。滝に行くのは仕方がないことだけれども姫が来たと分からせないよう顔を黒塗りにして行かせなさい。』といいました。
夫の言う通りに顔を黒塗りにして滝に向かう姫。
滝に近づくとしぶきによって黒塗りの顔は洗い流され素顔が露わに……。姫に気付いたシロヘビは彼女の身体に巻きつき滝壺へ引きずり込んでしまいました。
これ以降、滝は素顔の滝と呼ばれるようになりました。
ツタマロにとっては悲しい物語。クマヒコと姫にとってはどうだろう?
二人は滝壺で死んでしまうわけだが、あの世で結ばれたというのであれば。
いずれにせよ、ここが心霊スポットとして扱われるようになった原因はこの物語にあると思う。
滝までの道中の景色
山の中なので昼間でも少々薄暗い。
苔生した雰囲気。
滝までの道中に多くの石仏が並べられている。
不動明王、地蔵菩薩、水子地蔵が多くあった。
屋根付きのVIP待遇なお地蔵様。
童顔なお不動様。
子供服を着せられた地蔵菩薩と水子地蔵。
どうやら菅生の滝は水子供養が行われているようだ。
何も知らない人が菅生の滝地蔵群を見たら怖いと感じるかもしれない。
水子供養は生まれて間もない子供、生まれることの出来なかった子供を供養すること。お地蔵様は亡くなってしまった子供たちを見守り導く。
そういう役目を果たす菩薩なのだから私たちが恐れる理由は全くない。
終わりに
滝の近くの須川神社。
神道、仏教、修験道が入り乱れた菅生の滝。心霊スポットと云われているが、どちらかというと神聖なスポットだと感じた。
人間は神的なものに畏怖する傾向があるので『心霊≒神霊』ということも考えられる?
コメント
>どちらかというと神聖なスポット
観光、心霊、信仰 のどれ?と思ったときに、
かつては、信仰の対象だったのかな~って思いました。
訪れる人も少ないのでしょうか。
上総さん
宗教色が強い場所ですね!
修験道が盛んな地域だったようなので山伏が籠って滝行などをしていたのでしょう。
夏はまぁまぁ人がいます。冬は少なそうです。