大崎山公園の歴史と流れる心霊の噂について

大崎山公園

新潟県三条市にある大崎山公園。

大崎山は永明寺山(ようめいじ)とも呼ばれている。三条の歴史という書物に永明寺山(通称大崎山)とあるので正式名称は永明寺山なのかもしれない。名前の由来は麓にある『永明寺』だろう。大崎山の『大崎』は地名から。

古くから人の営みがあった場所らしく、山の中腹からは弥生土器片やアメリカ式石鏃が発掘されている。むかしスキー場があったため三条市史に『大崎山スキー場跡遺跡』と記載あり。

開園の正確な時期はわからなかったが、1968年(昭和43)頃に『永明寺山が大崎山公園として開発されるに当たって』という文章をどこかで読んだので、そのちょっと後に造園されたのだろう。敷地はそれなりに広く、遊具はもちろん、テニスコートや体育館、キャンプ場まで設置されている『スポーツを楽しむのもよし、風景や自然を楽しむのもよし』という感じのレクリエーションの場として開放されている。

今回、大崎山公園の頂上公園へ赴いたので、そこで気になったものをいくつか紹介しよう。

 

元八幡宮の鳥居

大崎山公園

公園の展望広場に元八幡宮を掲げる小さな鳥居があった。

三条八幡宮は仁和元年(八八五年)京都岩清水八幡宮より御分霊を勧請して創建された。場所は現在の東大崎永明寺山とされ、その後建久七年(一一九六年)里に下り、慶長四年(一五九九年)現在地に遷宮された。

現地の石碑より一部引用

現在の三条八幡宮はJR北三条駅のすぐ近くに鎮座する。大崎山公園の元八幡宮は三条八幡宮の発祥の地として地元の有志や麓の永明寺の協力によって大切に保管されている。

三条市内にある泉薬寺が八幡宮を管理していたという記録が残っているので下に引用しよう。

神仏習合の時代に社僧として任されていたが、明治政府による神仏分離政策によって切り離されたのかもしれない。三条八幡宮と泉薬寺は道を挟んで相対しているので、何かしらの繋がりはあるのだろう。

一、真言宗 医王山 泉薬寺

(中略)

一、当寺ハ八幡之社僧故除地之外、大崎山之達磨林ト申草山、横拾間、竪ハ峯切之所幷八幡淵之由、方弐百歩余之処

いちのまる
いちのまる

泉薬寺は八幡宮も管轄する僧侶だったため除地のほか、大崎山の達磨林という草山にも土地があります。横は10間(約18m)、縦は峰が切れる所(八幡淵)、面積は200坪(約660㎡)です。みたいな感じかしら?

 

訳が間違っている可能性大です。こういうのに詳しい人にご教授願いたい。

 

観測日食碑

大崎山公園

頂上公園の中心部にある観測日食碑。

明治20年(1887)8月19日、新潟県から茨城県にかけて本州の中央を横断する皆既日食がありました。

明治政府は一般の市民に組織的に日食観測をおこなうように奨励し、その報告を募集したりしました。また、専門家による観測は、千葉県銚子、栃木県黒磯、福島県白河、そして新潟県三条の永明寺山(当時、南蒲原郡東大崎村)の4か所でおこなわれました。

永明寺山以外の3か所では天候が悪く、観測ができませんでしたが、日食の時刻に晴れ間がのぞいた永明寺山の観測隊だけが日食観測に成功しました。

皆既中のコロナの写真3枚をはじめとして、多数の皆既日食の経過写真を撮影することができました。

この写真記録は世界でも唯一のものであり、その成果は国外の学術誌にも発表されました。

この観測にあたったのが、内務省地理局の測量課長内務二等技師で初代中央気象台長の荒井郁之助らの観測隊でした。

日本で初めての科学的な日食観測であることから、この業績を永久に保存するために、当時の地元県議会員の関谷孝治郎(三条市上野原出身)らが、観測地であるこの永明寺山の地に記念碑を建てたものです。

現地案内板 三条市指定文化財(史跡)観測日食碑より

とのことである。

観測隊代表の荒井郁之助の経歴がちょっと気になって調べてみたのだが、なかなかの傑物で驚いた。

1836年(天保7)に江戸の湯島で生まれ幕臣として活躍。若いころから非常に優秀な人物だったようである。戊辰戦争では榎本武揚とともに旧幕府軍の一員として新政府軍と対立した。榎本らが立ち上げた蝦夷共和国(箱館政権)の海軍奉行に任じられ宮古湾海戦、箱館湾海戦を戦った。でも水泳は苦手だったらしい。箱館政権の降伏後は新政府に仕え、開拓使の役員として腕を振るった。

皆既日食の観測したときの年齢は51歳。明治42年(1909年)に病没。享年74。

息子は画家の荒井陸男。代表作の『水師営の会見』は明治神宮外苑の聖徳記念絵画館に展示されている。

 

心霊の噂

大崎山公園

大崎山公園には心霊スポットの噂が流れている。

いくつかのオカルトサイトを確認したところ『2009年(平成21)9月に発生した男女3名による硫化水素自殺』を噂の根拠に挙げていた。新聞記事データベースで調べてみると、確かにこの事件は起きている。ただ発生場所が記事では『三条市東大崎の林道』となっていて大崎山公園の名前は出てこない。大崎山公園の南を通る林道か下条川ダムに抜ける道が怪しいと思うが、はっきりしたことはわからない。

あと展望台で自殺をしたという情報も見かけたが、これについてはさっぱりである。事件性のない自殺はテレビニュースや新聞で取り上げられないことが多い。こういうのは地元の方に取材するしかないのだが、このようなことで他人の時間を奪えないし、私自身も時間が足りないので調査は断念した。この件について確実なエビデンスをお持ちの方がいらしたらこっそり教えていただけると嬉しい。

いちのまる
いちのまる

大崎山公園は20時以降『立入禁止』です。車両の進入はもちろん、人の立ち入りもできません。よいこの皆さんはルールを守って明るいうちに訪問しましょう。

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