
福島県耶麻郡猪苗代町にある廃墟、横向温泉ロッジ。
過去に数回火災が発生しており、そのことが新聞で取り上げられている。新聞記事に当物件についての情報が載っていたので列挙しよう。
・1996年(平成8)5月24日に出火
鉄筋コンクリート5階建
建物は約20年前から未使用
1995年(平成7)7月にもぼや騒ぎがあった
施設は約40年前に廃業
心霊スポットとして知られていた
・2022年(令和4年)6月2日の朝に出火
鉄筋4階建て
現場には花火の残骸や落書きがあった
横向温泉ロッジの開業は、おそらく1964年(昭和39)。
猪苗代町史に横向温泉ロッジの依頼名で温泉の試験成績表(昭和三十九年二月三日)が記載されている。また同年8月発行の福島民報年鑑昭和40年度版の猪苗代町の章に横向温泉ロッジの名があった。これ以前の福島民報年鑑に名前は見当たらない。旅行系の雑誌に広告が掲載され始めたのもこの年である。広告の写真にロッジ周辺でスキーを楽しんでいる人々が写っているので、1960年代のスキーブームに合わせて開業したのではないかと思う。
廃業時期はわからなかった。ネットの情報では1980年代と紹介されている。
営業時の情報が福島県観光要覧(1969年発行)や当時のパンフレットに残っていた。
・客室数
和室:33 和洋室:71
・収容人員
一般:192 団体:230
・宿泊料
1,200円~3,000円
・サービス料
15%
・広間
48畳
鉄筋コンクリート5階建。温泉をたたえた25mの屋外プールあり。弱アルカリ性の単純鉱酸泉。子宝の湯として知られている。
横向温泉について

横向温泉は寛文元年(1661)、あるいは寛文10年(1670)に発見されたと伝わる。古くから子宝の湯として湯治が行われていたそうだ。
『横向』の名の由来にはいくつかの説がある。
1.旅人が尋ねたとき、横を向いたまま返事をしなくて無愛想だった。
2.吾妻山と安達太良山を結ぶ峰を縦走する山に対して横を向いている。
3.源義家が温泉に立ち寄ったとき、湯の湧き口を見て顔を赤らめて横を向いた。それが女性の局部に似ていたためであった。
3番は1960年代の書籍に書かれていて、湯の湧き口に関する現地での応答が面白おかしく語られている。横向温泉の売りである子宝の湯と紐付けられる話なので由来としては面白いと思う。ただ昭和初期の書籍には1番の由来しか書かれていなかった。3番の由来はなんだか出来過ぎた話のような気もするので、もしかすると創作なのかもしれない。
終わりに

横向温泉ロッジには心霊スポットの噂が流れている。
オカルトサイトや廃墟サイトでは、
・経営に行き詰ったオーナーが自殺した
・火事で大勢の宿泊客が死亡した
・子供の幽霊が出る
・稲川淳二氏がラジオ、もしくはテレビで紹介した
などと紹介されることが多い。
オーナーが自殺したかは不明。火事は廃墟になってから発生している。営業中に火事がなかったと言い切れないが、大勢の客が死ぬような事故なら必ず記録に残っている。子供の霊に関しては漠然とし過ぎていてよくわからない。
横向温泉ロッジに関する稲川淳二氏の音声や映像を見たことがないので断定はできかねるが、もし本当に彼が紹介していたのだとすれば、この廃墟が心霊スポットとして有名になってしまった理由が明白である。
有名な割に根拠がはっきりしない心霊スポットだった。
おばけが出るかどうかは自称幽霊が見える方々で議論していただきたい。霊感皆無な私には理解できない話だから。


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