熊本県の心霊スポットして有名な佐敷隧道(通称・旧佐敷トンネル)。
1903年(明治36年)に造られた煉瓦造りのトンネルです。長さ434m、幅5.5mあります。
歴史的に重要な史跡として2002年8月21日、登録有形文化財に指定されています。
熊本出身の小説家・徳冨蘆花が書いた紀行文『死の陰に』に旧佐敷トンネル(佐敷隧道)が登場します。
馬車は長い長い佐敷太郞の阪を上り切つた。上り切ると、長い長い隧道がある。 隧道の闇に入つた馬車が、轟々轆々騁せて北に隧道を出脱けた途端に、「まあ! 」 嘆聲が一齊に馬車の中からあげられた。
(中略)
とろりと白く膏を流した葦北の海の向ふには、今沈む夕日を銜んで紫は濃く碧は薄く幾重にも重なり並ぶ凸凹の形面白い天草の島山。
徳冨蘆花『死の陰に』登場の地の標柱より
内容は『トンネルを抜けたら素晴らしい景色が広がっていました。』というもの。
題名の『死の陰に』は暗い言葉だけど、文章そのものに心霊を連想させるところはなさそう。
佐敷隧道が心霊スポットになってしまった根拠はあるのだろうか?
佐敷隧道がある佐敷太郞峠は薩摩街道の難所として知られていたようです。
難所というのはどの程度なのか?
峠の往来で少々の死者は出たのかも知れないが、それはここに限らず険しい峠なら何処でも同じだと思う。
トンネル上部に登って見ましたが特に何もありません。
草刈りがしてあるのでしっかりと管理されていることがわかります。
反対側の上部はこんな感じ。
ここも何もないです。
他に考えられるとしたら掘削中の事故ですかね。
明治時代のトンネルですから殉職者がいる可能性はあります。
でも、そんなの記録に残っていないよね。慰霊碑らしきものがあればほぼ確定なんですけど。
結局何で心霊スポットなのかわかりませんでした。
でも夜に行くべき場所ではありません。
峠はくねくね道で落ちたら万事休すな崖が多くあります。物理的に危険です。
日が出ているときに行って歴史的建造物を愛でましょう!
トンネルのすぐ近くにあった山の神の祠。
『1599年 慶長4年』と彫られています。
きっと昔から道祖神的な意味合いで崇められていたのでしょう。
霊や神を殆ど信じていない私ですが、こういうに出会うと何故か手を合わせ目を瞑ってしまいます。何がそうさせるのか?
トンネルの北側出入口から下った所にある頭の無い地蔵尊。
『享保十一○天 三○中旬白』と書かれています。
恐らく享保11年(1726年)の三月中旬に造ったということでしょうが、語尾の天と白の意味がわからない。
梵字は『カ』。
地蔵菩薩を表しています。
終わりに
旧佐敷トンネルの場所は↓です。
くれぐれも峠の運転はお気を付けて…。
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