おむつ塚の由来について。ジャラジャラと鳴る鎖の音が…?(笑)

おむつ塚

山梨市一町田中にある果樹畑の一画に数基の石仏が祀られる『おむつ塚』と呼ばれる塚がある。

日本には様々な事物を供養する独特な宗教観があることから、『おむつ塚』について何も知らなかった以前の私は『人の穿くおむつ』を供養する塚だろうか?と本気で考えていたが、ここでいう『おむつ』は女性の名前であった。

この塚は全国的に有名な心霊スポットとして知られている。一体どのような謂れのある場所なのだろうか?

ちょっと調べてみよう。

 

おむつ塚

普段私は取材をしないのだが、どうしても塚の場所がわからず、近くの農家さんに位置を教えて頂く流れで『おむつ塚』の由来についてお伺いすることになった。

一文にまとめるのが難しかったので農家さんのご回答を箇条書きで記載する。

・代官に手籠めにされたおむつさんがショックのあまり自殺した

・哀れなおむつさんを祀った場所がここ

・ここは農家の敷地ではなく寺院の敷地

・夜来ると鎖の音が鳴って怖いというが、すぐ近くに鎖に繋がれた犬がいるのだから当然だ

・何十年もここにいるが、幽霊なんて出たことがないし、聞いたこともない

・昼間はまだいいが深夜に来るのは本当に勘弁して欲しい

ネットで調べるとおむつさんに関する情報がもう少し出てくるのだけれども、情報の出典が不明瞭なので信じていいかわからなかった。

ただ、現地の方がこう言っているのだから、昔『おむつ』という女性が酷い目に遭い無念の最期を遂げたのは事実だったのではないかと思う。

※追記

口碑ニ云地頭専横窮リナクおむつナル者本村某ニ嫁スルノ際强テ地頭ノ權威ニヨリテ意ニ從ハシメントセルモ應せす爲メニ土中ニ穴ヲ作リテおむつヲ入レ尚虫攻ニセルモ從ハスシテ苦悶死ニ至レリトおむつノ母粟ヲ手ニ摑ミ来リ怨言シテ曰ク之粟ノ數程代々地頭ヲ惱マセヨト爾來怪火墓邊ニ燃ヘ冤靈來テ地頭ヲ惱スコト數代遂ニ同族ヲシテ滅亡セシメタリト

1920年(大正9)12月22日発行 一町田中拾遺集 80頁 阿嬢墓或ハおむつ塚より

言い伝えによると、地頭の専横が酷く『おむつ』という者を当村の何某に嫁がせようとした際、地頭の権威によって意に従わせようとしたが、応じなかったため土中に穴を作って『おむつ』を入れ、更に虫攻めしても従わず、やがて苦悶して死んでしまった。『おむつ』の母が粟を手に掴んでやって来て『粟の数程、代々の地頭を悩ませよ』と恨み言を言った。それ以来、火の玉が墓の辺りに燃え、悲しき霊が地頭を悩ますこと数代。遂に同族を滅亡させてしまった。

後日、おむつ塚の曰くについて書かれた書籍を発見した。

一町田中拾遺集によると『おむつ』は手籠めにされたのではなく、地頭の権力を背後に強引な結婚を迫られた彼女が死ぬまで抵抗したという流れになっている。

もしかしたら様々な口伝があるのかもしれないが、文献に残っているという意味では信憑性が高いのではないかと思う。

 

終わりに

おむつ塚

農家さんとの談話は終始和やかムードで進んだ。

たぶん私が『幽霊なんてしょうもないですよねー。ははは』みたいなノリだったからかもしれない。

犬の鎖云々の話が出たときは本当に愉快だった。犬がいることも知らずに『鎖の音は幽霊の仕業だ!』なんて語るのは滑稽の極みである。何でも幽霊のせいする俄かオカルトマニアの悪癖には辟易する。

因みにここが全国的に有名になったのは大物YouTuberが紹介してからだと思う。動画内で鎖の音について触れていたので、鎖の音の噂は彼が発端なのかもしれない。

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