秋田県秋田市千秋公園(久保田城跡)の北部に通る千秋トンネル。
秋田の『秋』に永久を意味する『千』を冠して『当地が長く繁栄しますように』という思いを込めて『千秋(せんしゅう)』と名付けられたといわれている。
トンネルは交通渋滞緩和を目的として1978年(昭和53)に開通した。長さは『秋田魁年鑑 昭和55年版』によると189mとのこと。
千秋トンネルの上部は小学校の敷地となっている。ここは久保田城の三の丸および別郭(北の丸)があった場所で、久保田藩主の佐竹氏が八幡宮を置いたことから八幡山と呼ばれていた。浄水池が造られたこときっかけに水道山と呼ばれた時期もあったようだ。
千秋トンネルに心霊の噂?
オカルトサイトでは『クラクションを鳴らすと血まみれの女性の首が落ちてくる。または女性の髮が落ちてくる』などと紹介されている。
久しぶりのクラクション系心霊スポットです!
これで何件目だろう?
今度、クラクション系だけでまとめ記事を作ろうかしら。
この付近で女性の首吊り自殺があって、それが幽霊出没の原因になっているらしい。千秋トンネルや千秋公園でそういった事件や事件が起きていないかを調べてみたが、目ぼしい情報は見つからなかった。
過去から現代に至るまでの新聞や雑誌を詳らかに調査したわけではないので、何もなかったとは言えないけれど、事件や事故が多発する場所ではなさそうである。
終わりに
幽霊とはちょっと話が違うかもしれないが、この付近には神霊や妖怪にまつわる話が残っている。
ひとつは初代藩主の佐竹義宣に仕えた伝説のキツネ『飛脚の与次郎』だ。
久保田城の築城によって住処を追われたキツネの与次郎。
殿様に『あなたが城を建てたので私たちの住む場所が無くなってしまいました。新しい住処を作ってくれれば、あなたを認めて、必ず手助けいたしましょう。』と訴えました。気の毒に思った殿様は与次郎に北の丸付近の土地を与えます。
殿様に忠義を誓った与次郎は飛脚となって大いに活躍しましたが、あまりに優秀だったため同業者から恨みを買い、出先で殺されてしまいました。
与次郎が殺された集落では次々と不幸が起こり『これはキツネの祟りだ』と慄く村人。彼らが与次郎のために稲荷社を建てると怨霊は鎮まったといいます。これが山形県東根市四ツ家の与次郎稲荷神社です。
弥次郎の死を聞き知った殿様はとても悲しんで八幡山に稲荷社を建てました。稲荷社は何度か移転された後、現在は久保田城の本丸跡に建っています。これも与次郎稲荷神社と呼ばれています。
与次郎は足の速い優秀な飛脚だったのでスポーツ上達のご利益があるそうです。
もうひとつは『御薬園のしょうけら』。
『久保田城下百物語』という古書にその名がある。
『しょうけら』の素性はさっぱりわからない。庚申信仰に関する妖怪らしいが、謎に包まれている。
『御薬園のしょうけら』というくらいだから御薬園に『しょうけら』が出没したのだろう。
久保田城の御薬園は本丸と八幡山の西に位置している。つまり千秋トンネルの西側だ。
千秋トンネルの造設や土地の開発によって八幡山の景観は大きく変わったらしい。
『神を祀る八幡山を破壊するとは罰当たりだ!』という畏怖の感情が幽霊の話に転化していった可能性も考えられるだろうか。
そういう意味では『キツネの与次郎』や『御薬園のしょうけら』の物語が心霊の噂に全く関係ないとは言い切れないのかもしれない。
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