磔者坂…。
『はたもんざか』と読む。
磔者坂と聞いて『地獄先生ぬ~べ~』という漫画に登場する妖怪・はたもんばを思い出した。
輪状の刀が特徴的な強烈な個性を持つ強敵であった。
これ以上は脱線してしまうので気になる方は調べて欲しい。
磔者坂は処刑場跡だった?!
約600年ほど前、清水城が島津氏の本城であった頃重罪人を磔にした刑場であったと言われています。
磔者坂案内板 吉野史談会より
正確な場所は判明していないが、処刑場があったことは間違いないだろう。
どんな理由があったにせよ、多くの人々が無念の内に亡くなった刑場跡だから心霊スポットとして扱われるのも仕方が無いなのかもしれない。
磔者坂と呼ぶ位だから磔刑が行われていたのだろうか。
磔については↓をご覧あれ。
大石兵六夢物語について
1784年(天命4)に薩摩藩士の毛利正直が大石兵六夢物語という風刺物語を書いている。
これは人間を騙して悪さする狐を大石兵六が退治する物語で、その中に磔者坂が登場している。
因みに大石兵六は忠臣蔵で有名な大石内蔵助の子孫という設定になっていた。
大石兵六夢物語 西元肇 訳 39pより引用
磔者坂の下に差し掛かったとき狐が扮した妖怪・茨木童子が兵六の前に飛び出し『喰ってしまうぞ!』と凄み脅す。
挿絵だと兵六は勇敢に立ち向かっているように見えるが、実際はぶるぶると震え、許しを乞い、敵前逃亡している。
大石兵六夢物語はこんな感じの話が数話続く。
狐を退治するのは物語終盤で、序盤から中盤までの大石兵六は狐に化かされ逃げ惑い、騙されて糞尿風呂に入ったり、丸坊主にされたり散々な目に遭っている。
終わりに
以上が磔者坂と大石兵六夢物語についてである。
先に風刺物語と書いたが、
島津二十五代重豪公の開化政策に便乗する権力者を悪狐にたとえ、これを退治するという意図を込めた作品であり、中期江戸文学の中でも高く評価されている優れた文学作品である。
大石兵六夢物語 西元肇 訳 4pより引用
という事らしい。
購入した大石兵六夢物語は平易に訳されていてスラスラ読めました。
狐に騙されている兵六が滑稽で笑えます。
値の張る書籍ではないので興味ある方は読んでみてください。
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