阿蘇郡西原村の白糸の滝へ。
『白糸』を冠する滝は日本各地にある。とりわけて有名なのは長野県軽井沢や静岡県富士宮市の白糸の滝だろうか?(東国の人間だからそう思うのかもしれない)
熊本の白糸の滝は別名、寄姫の滝と呼ばれる。
この滝はパワースポットとして知られているのだが、曰く付きの場所、いわゆる心霊スポットとしても知られている。どうやら『寄姫』がキーワードのようだ。
では、心霊スポットの根拠を見ていこう。
白糸の滝の場所
熊本空港(阿蘇くまもと空港)から約20分の距離にある。
道程がやや複雑なのでカーナビかgooglemapのナビを頼ろう。
(文章で説明するのは若干無理がある)
寄姫伝説について
むかし、兵部という武士がいました。
兵部は滝の近くで美しい娘・寄姫に出会い恋に落ちます。
恋は成就し、やがて二人は結婚します。兵部は武士でしたが、高給取りではなかったようです。
寄姫は家計を助けるため外に出て機織りの仕事に就くと言います。
しばらくすると村内で寄姫についての妙な噂がたちました。兵部は寄姫を問いただしますが、何も答えません。
ブチ切れた兵部は怒りのままに刀で寄姫の胸を一突き。
堪らず外に逃げ出した寄姫と血痕を追う兵部。
血痕は滝の上にあった洞窟に続き、中には血を流して横たわる大蛇の姿があったそうな。
寄姫は死んじゃったのかな?
ところでこの物語はどう解釈したらいいのだろう?
とりあえず兵部がろくでもない人間だということは分かった。
白糸の滝にある題目碑。
『南無妙法蓮華経 奉勧請 竜姫妙神』と刻まれていた。
『竜姫妙神=寄姫』ということだろう。寄姫は竜姫妙神、すなわち竜神だったのだ。
竜神は水の神様、転じて農耕神としても信仰されてきた。
この滝は水神の住まう神聖な場所として近隣住民の方々に大切にされてきたのだろう。
終わりに
伝説に『寄姫を殺害した兵部は呪われ、子々孫々が祟りに苛まれた』みたいな続きがあれば、心霊スポットの根拠として十分なのだけれど……そんな感じでもない。
題目碑(南無妙法蓮華経の碑)が置かれている理由から探ってみよう。
私は題目碑を見るとどうしても処刑場を連想してしまう。そのため当初は殺された寄姫の霊を弔うために建てた供養塔ではないかと安易に考えていた。が恐らく違う。
法華経には八大竜王という竜族の王が登場する。地域によっては八大竜王を雨乞いの神様として信仰してきたそうで、各地に八大竜王を祀る社寺が存在する。もしかすると白糸の滝は法華経の竜神を崇め雨乞いの儀式を行った聖域だったのかもしれない。
雨乞い説は完全に当て推量なので、適当に聞き流していただきたいが、いずれにしても心霊スポットというよりは神聖なスポットであることは間違いなさそうである。
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