東京湾観音へ!世界平和を願うために建てられた救世観音が何故心霊スポットとして知られているのか?

東京湾観音

千葉県富津市の大坪山に聳え立つ高さ56mの東京湾観音。

1961年(昭和36)、宇佐美政衛が以下の理由で建立した観音像である。

大戦後の混迷する世相を憂い、我浄の精神にて世界平和の理念を説かれ、多くの戦争殉難者の御霊を祈り世界人類の道標とすべく、私財を投じて東京湾観音を建立されました。

現地案内板より

宇佐美政衛は1890年(明治23)5月に千葉県君津郡小櫃村で生を受け、14歳の時に東京の深川の材木店で丁稚として働き、その後生涯にわたって治山治水のため造林事業に尽くし、1977年(昭和52)、87歳でその生涯を終えた。

東京湾観音

宇佐美政衛が平和を願い私財を投じて建立した東京湾観音であるが、何故かここには幽霊が出るという噂が絶えない。

理由を調べてみると観音様の上層から投身自殺する者が多数いてその霊が出没するとの事。

本当だろうかと過去の新聞を軽く漁ってみたが、そのような事実は発見出来なかった。

管理者に聞いてみたが『そんなことは起きていない。』と回答を受けたと紹介するサイトもある。

もし、具体的な情報をお持ちの方がいらしたら是非教えて頂きたい。

平和の象徴として造られた尊い救世観世音菩薩が根拠の無い噂で汚されるのは忍びない。

もし霊が居ると云うのであれば怨念の類ではなく清い守護霊のようなものであって欲しいと思いたいものである。

いちのまる
いちのまる

私は霊を感じないし見たこともないから何とも言えないのだけど、心情的にはこんな感じです。

という訳で心霊云々の話はこれで仕舞にして、これより東京湾観音の内部の様子を紹介しようかと思う。

 

東京湾観音の内部の様子

東京湾観音

東京湾観音は頭の部分を天上界とし、そこまでの324段の螺旋階段の途中に仏像や七福神が安置されている。

公式サイトにあるように”天上界へ続く階段を、人生の一歩一歩のように踏みしめながら進む…”とついでに仏像を撮影しながら登ってきたので下層から上層に向かって紹介していこう。

仏教や仏像に興味のない方にとっては何の面白みも無いものになるだろうから、そんな方はここでブラウザバックどうぞ。

 

1F.文殊菩薩

東京湾観音

智恵と徳を司る仏様で人々に悟り深い日常をお授け下さいます。

“三人寄れば文殊の智恵”のことわざの語源となった菩薩。

釈尊と同時代を生きたという説もあるようだがどうなのであろうか?

 

2F.不動明王

東京湾観音

仏教の守護神と云われる明王の地位に在り右手の剣は悪魔や煩悩をくじき左手の綱は自由を示されています。

憤怒相で有名な不動明王。

滝の傍らに祀られることが多い。(全国各地に○○不動の滝という場所がある)

仏教だけでなく修験道の神様としても崇められている。

 

3F.恵比須様

東京湾観音

唯一の日本の神様で、釣り竿と大きな縄をお持ちになられ人々の財福と繁栄をお授け下さいます。

漁業の神様。

私の地元にもあって子供の頃に行ったが、恵比須様を祀る『えびす講』の行事は豊穣を願う民衆の祭事であった。

ここの恵比須様は厳めしい顔をされているが、朗らかな場合が多い。

 

4F.大黒天

東京湾観音

肩に大きな福袋を担ぎ、人々に打出の小槌で福と徳をお授け下さいます。

ヒンドゥー教のシヴァ神の化身らしい。

シヴァと言えば恐ろしい神様のイメージしかないけれど、大黒天にその面影は想像し難い。

神道の大国主命と混同されたことで微笑みが取り入れられたのであろうか?

 

5F.毘沙門天

東京湾観音

多聞天とも言われ、天上界の四天王の一人として知られ北方を守り、人々に財福をお授け下さる神様です。

インド神話のクーベラという財宝の神様が前身となっている。

軍神・上杉謙信が崇拝したことから戦の神様のイメージしかない。

 

6F.弁才天

東京湾観音

水の女神、学芸の神様とされ勉学、スポーツ、芸事の上達を導いてくださいます。

前身はインド神話にあり、芸術や学問を司る神様である。

日本では池や湖などの水辺に祀られることが多い。

弁才天が関係する心霊スポットは大抵、弁才天の嫉妬深さが根拠として語られる。

弁才天が嫉妬深い性格と云うよりは、それと同一視された宗像三女神の影響が強いのだと思われる。

 

7F.寿老人

東京湾観音

経巻をつけた杖を携え、扇子を持たれ鹿を従えられて人々に長寿をお授け下さる神様です。

中国の伝説上の人物で道教の仙人と伝わる。

健康や長寿のご利益があるとされている。

 

8F.普賢菩薩

東京湾観音

慈悲深く、理知第一の仏様で長寿延命のご利益を下さいます。

梵名の”samantabhadra”は『普く賢い者』の意。

文殊菩薩と共に智恵に関する菩薩である。

女性の救済を説いた法華経に登場するため女性からの信仰が厚い。

 

8F.福禄寿

東京湾観音

杖を持ち、多くの鶴を従え人々に幸福と長寿をお授け下さいます。
南極星の化身

幸福(福)、財産(禄)、長寿(寿)を具現化した中国の道教由来の神様である。

頭が長い。

 

9F.布袋尊

東京湾観音

中国の禅僧『契比』と言われます。常に袋を担ぎ、喜を求めて托鉢行脚し、人々を教化されました。

弥勒菩薩の化身とも云われてます。

中国に実在したとされる僧侶。

大きな袋を背負うポッコリお腹の愛嬌のある姿をしている。

福の神的なポジション。

 

10F.地蔵菩薩

東京湾観音

数多くの場所で親しく人々を救済下さる菩薩様です。

釈迦入滅後、弥勒菩薩が現れるまでの間、現世の衆生を救う我々になじみ深い菩薩。

日本各地至る所に安置され一帯の安全を見守る道祖神としての役割も果たしている。

子安地蔵や水子地蔵など子供に関する守り神としても知られる。

 

11F.勢至菩薩

東京湾観音

智恵と光で現世を照らし、人々を迷いや苦悩からお救い下さり、幸福へと導いて下さいます。

阿弥陀如来を中心とし左脇侍に観音菩薩、右脇侍に勢至菩薩がある。

智恵を以てして衆生を救う菩薩。

丑年生まれの守護神らしい。

 

12F.マリア観音

東京湾観音

慈愛に満ちたイエスキリストの聖母の如く子供を育む、母の強さ優しさの象徴です。

江戸時代のキリシタン弾圧に関する観音様。

九州地方の隠れキリシタンたちはマリア様を観音様に模して仏教徒を装った。

実際これで言い逃れが出来たのかは不明。

 

12F.聖徳太子

東京湾観音

飛鳥時代の為政者。文化の指導者として社会の混乱を正し、仏教思想を以て人々の倫理感を高め日本文化の発展につくされました。

第31代天皇・用明天皇の皇子で、飛鳥時代に活躍した政治家。

数多くの功績を残したとされているが、昨今『流石に一人だけの功績じゃないでしょ?』的な流れになっているらしい。

当時の政治家たちが行った偉大な政治が、後世になって聖徳太子が全て行ったかのように見せたのではないかと疑問視されている。

私の時代は聖徳太子と習ったけれど、今の教科書には厩戸王(聖徳太子)と書かれているそうだ。

 

13F.虚空蔵菩薩

東京湾観音

宇宙の様に、大きく計れない程の福徳と智恵をお持ちになられ、如何なる願いも満たして下さいます。

智恵に関する菩薩。

文殊、勢至と何が違うのかと聞かれれば、私程度の人間には答える事の出来ない難事であると言っておこう。

 

13F.御本尊

東京湾観音

東京湾観音は、宝玉を持たれております。

円の極みの玉、全て丸く和すようにとの願いが込められて居ります。

東京湾観音は救世観音をイメージして設計・建立されたと言われているから『この世の衆生を救う』という強い意志が込められているのだろう。

 

14F.薬師如来

東京湾観音

左手に薬壺を持ち万病を癒し、寿命を延ばし衣食を満たす如来様です。

如来となる前、菩薩の時代に十二大願を発している。

光明普照・随意成弁・施無尽物・安立大乗・具戒清浄・諸根具足・除病安楽・転女得仏・安立正見・苦悩解脱・飽食安楽美衣満足

大願とは仏や菩薩が立てた目標みたいなものである。

 

14F.釈迦如来

東京湾観音

仏教の祖、王族であられたゴータマはこの世に無常を感じ出家、菩提樹の下で悟りを開かれ、仏教と云う教えで皆様をお救い下さいます。

仏教の開祖であるゴータマ・シッダッタ(釈尊)。

私の中では宗教家というよりは哲学者の印象が強い。

 

14F.阿閦如来

東京湾観音

自分の意に添ないことだけで、怒りの心を出さない『無怒』が、幸福への近道と教えてくださいます。

『揺るがないもの』の意味がある。

ご利益は薬師如来と似通っている。

 

15F.阿弥陀如来

東京湾観音

浄土界を司る仏様で、深い慈愛と智恵を以て極楽浄土へとお導き下さいます。

浄土系の宗教の御本尊。

南無阿弥陀仏とひたすら唱えれば往生出来ると説いた法然上人。

南無阿弥陀仏と唱えようと思い立った瞬間往生できるのでは?説いた親鸞聖人。

南無阿弥陀仏と唱えながら踊ろうぜ!と説いた一遍上人。

南無阿弥陀仏は『私は阿弥陀仏に帰依します』という意味。

 

15F.大日如来

東京湾観音

大光明遍照と呼ばれ、その偉大なる智恵の光は、昼夜の別なく人々を照らし繁栄をもたらされます。

密教の本尊。大日の意味は『偉大な輝くもの』である。

宇宙そのものと言っても過言でない。

スケールのデカすぎる如来。

 

15F.弥勒菩薩

東京湾観音

釈尊入滅されて、五十六億七千万年後の世に現れ、どの様に人々を救うか考えている菩薩様です。

我々は弥勒菩薩の降臨を待ち望んでいる。

果たして五十六億七千万年後に地球はあるのだろうか?

 

20F.天上界

東京湾観音

ここが東京湾観音の冠の部分。

16Fから観音様の耳や鼻の部分を通り抜け天上界へ向かうのだが、当時強風が吹いていたため上に行けば行く程、ぶぅんぶぅんという鈍い風音と小刻みな揺れが強くなっていき、だんだんと恐ろしくなった。

天上界に到着したにも拘らず10秒も居られずお祈りも出来ぬまま駆け足気味に逃げ下りた。

終わりに

東京湾観音

所々に外を眺められる白い格子状の展望スポットがある。

高所に怯えた私は完全に腰が引けてしまって碌な風景写真が撮れなかった。

高さに恐怖を感じない方だったらもっと際に寄って良い景色を収められるのであろう。

それだけが未練として残る。

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