十文字学園河口湖寮は河口湖北岸にかつて存在した廃墟である。
現在は取り壊されて石垣や門柱、灯篭のような遺構が残るのみ。
そこそこ交通量のある県道沿いに位置しているが、付近はひと気が少なく薄暗いため不気味な雰囲気を拭えない。
十文字学園について
十文字学園は十文字こと、戸野みちゑが1922年(大正11)に開校した文華高等女学校開校を起源とする学校法人であり現在も運営されている。
河口湖寮の正確な開設時期は定かになっていない。
1959年(昭和34)の航空写真で当地を眺めてみると、土地は整地されているが、建物は確認できない。11年後の1970(昭和45)の写真には河口湖寮と思われる建物が建っている。
オクムラ書店発行の『東京学校案内』に十文字中学校が紹介されており、昭和39年版(1963)の施設欄に河口湖寮の記載がある。しかし昭和38年版(1962)にはその記載がない。これらの情報だけで決めつけはできないが、航空写真の情報と合せてみるに1960年代に開業されたのはほぼ間違いないと思われる。
閉鎖されたのは館内のカレンダーが1989年(平成1)5月で止まっていることから、おおよそその時期ではないかと推測されている。
富士河口湖町に保有している旧河口湖寮の解体工事を行った。
学校法人十文字学園 平成31年度(令和元年度)事業報告書より
解体については十文字学園が公開している2019年度(平成31/令和1)の事業報告書に記載がある。
2019年度(平成31/令和1)に行った事業の項目に河口湖寮解体工事と河口湖寮フェンス設置工事の費用が提示されている。
心霊スポットの噂について
たぶん心霊スポットとしての歴史は浅い。
2015年(平成27)制作の『ほんとうに映った!監死カメラ12』の廃墟シリーズで河口湖寮が紹介された。
廃墟に宿泊して霊現象を撮影しようと試みる企画です。
窓に幽霊が映るシーンがあるのですが、あまりのチープさに唖然としてしまいました。↓にリンクを貼っておきますので、興味のある方は是非観てみて下さい。
ネットやTwitterの検索で過去を遡って探してみたものの、2015年(平成27)以前の検索結果で河口湖寮と心霊を結び付ける内容の投稿は見つからなかった。それ以前からも噂があった可能性は捨てきれないが、恐らくは上で紹介した心霊映像が噂の拡散のきっかけになったのではないだろうか。
終わりに
現地に『学校法人 十文字学園 セミナーハウス 予定地』と書かれた真新しい看板があった。
新しい建物が建って人の出入りが始まれば、次第に心霊スポットの噂も薄らいでいくだろう。
そもそも事件や事故が発生した事実は確認出来ないので『本当に心霊スポットだったのか?』と首を傾げたくなる。
コメント