東京都板橋区上板橋1丁目、国道254号(川越街道)の中央分離帯に五本けやきはある。
『伐採すると祟られる。』
何処かで聞いた事のあるような、心霊スポットにありがちな伝説が流布されているようだ。
人々の往来多く、自動車の交通量もそこそこあり、陰気な雰囲気は皆無であった。
五本けやきにはどのような物語が残されているのでしょうか?
“五本けやき”へのアクセス
東武東上線・上板橋駅南口から徒歩5分程度で着く。
周辺に有料駐車場があるので、自動車で行けないこともない。
“五本けやき”の歴史
結論から言うと伐採して祟りがあったと云うのは単なる噂話である。
この土地は、かつて上板橋村の村長を務めた飯島弥十郎の所有地であった。
昭和初期に実施された都市計画事業によって街道は通されたのだが、飯島氏は屋敷に植林されていた欅を残す事を条件に土地の譲渡を行った。
出典:国土地理院/空中写真を切取・編集引用(左/1947/07/24(昭22),右/1936/08/14(昭11)撮影)
上板橋駅付近の空中写真。
赤丸で記した箇所が欅の位置だと思われる。
元村長の要望にどのような意図があったのだろうか?
先祖代々、守り継いできた土地を無条件で明け渡す気にはならず、少々の我儘を言っただけなのかもしれない。
村長も自分ん家の欅が後世まで残り、上板橋のシンボル的存在にまでなるとは思わなかったでしょうね!
終わりに
1970年(昭和45)9月11日の読売新聞夕刊に『五本けやきが三本けやきになってしまった。』という旨の記事が記載されている。
三本だけになった欅の写真が大々的に載せられているので、引用掲載したいところだが著作権の問題でそれは叶わない。
排ガスによる公害で二本が立ち枯れてしまい、残った三本も真っ黒になってしまった。
江戸名物であるから若木を植えて復活させようという話も出たが、公害に弱い木だから無理だろうと諦め気味で語られていた。
その後、どのような経緯があったのか分からないけれども、五本けやきは見事復活した。
外野が祟り云々言っているだけで、地元の方々にとって”五本けやき”は御神木的な立ち位置にあるのではなかろうか。
或いは大事に守っていかなければならないという意味で『悪さをすると祟られるよ?』と語り継がれ、心霊の噂に繋がっていったのかもしれない。
コメント
若いころ(昭和40年代)営業担当で、車で都内移動していたが、地方出で道が不案内の時、五本松を通り過ぎた思いだがあります。当時は今ほどうっそうとした大きさではなかったと記憶しています。懐かしい景色です。