東京都世田谷区の閑静な住宅街の内にある等々力渓谷。
『美しい渓谷』とは言い難いが、限りなく自然の少ない都会では貴重な存在だ。
1951年(昭和26)7月20日の読売新聞・朝刊に以下のように書かれている。(引用NGなので要約した。)
この頃、土地の有志らが『都民が家族連れで気軽に行ける野趣満点のハイキングコースを拡充させよう』と活動を開始し、区も乗り気になっている。
昭和前期の等々力渓谷は木々が生い茂り、清流は澱み無く澄み切っていたのであろう。
しかし、人口の増加により、周辺の宅地化が進み、次第に汚染されていった。
かつての清流を取り戻すための努力が何度も行われ、現在に至る。
『等々力』の地名は、渓谷内の『不動の滝』の音が響き渡り『轟いた』ところからついた、との言い伝えがあります。
等々力渓谷公園 説明板より
とのこと。
ちなみに上で紹介した1951年(昭和26)の新聞の地図には『不動の滝』の名前は無く、代わりに『双竜の滝』がある。
滝の上部には修験道の開祖・役小角の霊場と伝わる等々力不動尊があり、滝行が行われたと伝わる。
写真が『不動の滝』なのだが、『等々力(轟)』の由来にしては水量が余りにも弱い。
かつてはもう少し水量があったのかもしれない。
渓谷の崖地に3基の横穴古墳が残存している。
泥岩の切石でふさがれた玄室の床には河原石が敷かれ、3体の人骨とともに1対の耳環(イヤリング)と土器が副葬されていました。
都史跡 等々力溪谷3号横穴 説明板より
古墳が造られた時期は古墳時代末から奈良時代で、当地の有力な農民が埋葬されていた。
等々力渓谷が心霊スポット?
等々力渓谷には心霊スポットの噂があるらしい。
とある著名人が等々力渓谷で写真を撮影したところ、心霊写真が撮れたと話題になった。
また、溺死者の霊が現れると紹介するサイトもあった。
渓谷と雖も、かなり小規模である。
川遊びをするような場所ではないし、水難事故は発生しにくい環境にあると思うが…。
小学1年生の男児が等々力渓谷に転落し死亡した。
2つの堰に挟まれた箇所で水深が深く、生活用水などが溜まり淀んでいたと云う。
1件だけ水難事故に関する新聞記事を発見した。心霊の噂と何か関係があるだろうか?
終わりに
修験道の修行場、古墳の存在も心霊の根拠になっているかもしれない。
実際に訪問して遊歩道を歩いたが、不気味な雰囲気は全くなかった。
というか、ここはパワースポットとしても有名である。
等々力不動尊に縁結びの御利益があるからだ。
心霊スポットとパワースポットは紙一重。
どうせなら、縁結びを目的として訪問したいですね。
『明暗』どちらの視点で見るのかは個人の自由だが、『明』を選んだ方が人生に対して健康的で良いと思う。
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