朝倉病院事件とは?身の毛もよだつ院内の惨状を振り返る

朝倉病院跡

この地には2021年(令和3)まで廃病院があった。

名称は朝倉病院。診療科目は精神科と内科。242の病床を有する中規模の病院。

2001年(平成13)7月、信じられないような不祥事が発覚し、保険医療機関の指定が取り消され廃業した。

まだ覚えている方もいらっしゃるだろう。人面獣心な医師が起こした積悪を。

 

事件の概要

朝倉病院跡

朝倉病院が廃院となった理由はこうである。

2000年(平成12)11月、元職員が朝倉病院の内情を告発した。告発内容の詳細までははっきりと分からないが、診療報酬の不正請求と患者に対する不適切な処置についてであった。

これを受けた自治体と社会保険事務局は立入り調査に踏み切る。

カルテ、診療報酬明細書、帳簿などを照らし合わせ、また職員や患者から直接聞き取りを行い不正の有無を調べた。

その結果、不当な診療報酬請求が明るみに出た。そして冒頭にも述べた通り保険医療機関の指定が外され廃院となった。

いちのまる
いちのまる

これだけ聞くと『金に目が眩んだ残念な人間だったんだね。』で済むかもしれませんが、そのやり方がエグ過ぎました…。

この病院には痴呆の老人や精神障害を持つ生活保護受給者が大勢入院していた。彼らの多くは身寄りが無かった。

自治体が1年間に死亡した患者77名のカルテを調べたところ、約40名の死因が循環不全だと判明した。

自治体はこの不自然な死に深入りはしなかったようだが、診療報酬の不正請求を目的に行っていたとされる中心静脈栄養(IVH)療法が循環不全の原因だったのではないかと疑われている。

中心静脈栄養(IVH)療法とは、鎖骨や首、大腿部からカテーテルを挿入し心臓近くの太い血管に留置して高濃度の栄養を送る、消化器官が機能していない場合などに用いられる栄養法である。

専門的なことは分からないけれども、患者の状態によって何処からカテーテルを挿入するのかを判断しなければならないのだが、朝倉病院の医師は大腿静脈からの挿入を一律に行っていたそうだ。

大腿部から挿入の欠点は便や尿などの雑菌によって引き起こされる感染症の危険性である。ある程度身動きの取れる患者ならそれほど心配は無いのかもしれないが、ここには身動きの取れない者や適切な排泄が出来ない者もいた。

感染症が原因で循環不全になったとしても治療すれば保険料を稼げるし、最悪死んでもいいと考えていたのである。

更に酷いのは口から食事が取れる患者に対しても中心静脈栄養(IVH)療法を施術したり、嫌がる患者を無理矢理拘束したりしていたとも云う。当時のテレビで七点抑制や犬のように繋がれている老人の様子が放映され世間を震撼させた。

朝倉病院の前身である南埼病院は1969年(昭和44)に職員の医師法違反、診療報酬の不正請求によって医療機関の指定を取り消されている。1995年(平成7)に再指定を受けて朝倉病院と改名した。そういう組織の風土がずっと引き継がれてきたのだろう。

 

終わりに

朝倉病院跡

2001年(平成13)6月23日の朝日新聞に朝倉病院の耐火金庫から現金560万円と通帳などが盗難されたという記事があった。

その後、事の顛末まで記載されていないので飽く迄も邪推だが、これだけの事を仕出かした病院である。本当に盗難だったのか疑いたくなってしまうのは私だけだろうか?

朝倉病院の元院長は別の病院で未だ医師として働いているらしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました