宮崎市の平和台公園が『心霊スポットだと知られている。』という情報を得て宮崎観光のついでに赴いた。
平和の塔が印象的だったね!
恐らくはこれが心霊スポットの根拠になっていると思われます。
聳え立つ塔は荘厳で少し近寄りがたい雰囲気を持っている。
それ以外は『はにわ園がちょっと面白いな』と感じたくらいであった。
さて、なぜ平和台公園が心霊スポットなのか?
平和台公園へのアクセス
国道10号線の青看板に平和台公園が案内されているのでそれに従えば大丈夫。(宮崎市内、延岡・日向どちらから来ても看板があります。)
電車なら日豊本線の宮崎神宮駅が最寄り駅。
そこから徒歩30分程かかる。
平和の塔の八紘一宇について
平和の塔には『八紘一宇』と刻まれている。
色々と物議を醸す四文字熟語だ…。
八紘一宇は日本書紀の巻第三にある『橿原奠都の詔(かしはらてんとのみことのり)』に出てくる言葉を近代の宗教家・田中智學が抜き出しアレンジしたものらしい。
然後、兼六合以開都、掩八紘而爲宇、不亦可乎。
日本書紀 巻第三より(一部抜粋)
意味は『そのあとに、国を一つにし都を開き、八方隅々まで覆って家にすることは、いいことだ。』といった感じ。
言葉自体に悪い意味は無い。田中智學は“世界平和の意味”で八紘一宇を造語したそうである。
では八紘一宇の何が問題だったのか?
1940年(昭和15年)に発足した第2次近衛内閣が基本国策要綱で八紘一宇を使用し、それが大東亜共栄圏のためのスローガンとして使われたから。
要するに戦争利用された言葉として世の中に認知されたためだ。
皇国ノ国是ハ八紘ヲ一宇トスル肇国ノ大精神ニ基キ世界平和ノ確立ヲ招来スルコトヲ以テ根本トシ先ツ皇国ヲ核心トシ日満支ノ強固ナル結合ヲ根幹トスル大東亜ノ新秩序ヲ建設スルニ在リ 之カ為皇国自ラ速ニ新事態ニ即応スル不抜ノ国家態勢ヲ確立シ国家ノ総力ヲ挙ケテ右国是ノ具現ニ邁進ス
基本国策要綱 根本方針より
平和台公園が心霊スポットとして扱われる理由を平和の塔としたのは、塔に刻まれる八紘一宇の文字が戦争を連想させるからである。
負のイメージが付き纏う戦争史跡はここに限らずそのような扱いを受け易い。
戦争では多くの人間が無念の内に亡くなり、残された人々も苦悩に打ち拉がれる。
と言ったものの、平和の塔と戦争に直接的な関係は無い。
もし、心霊スポットの原因が平和の塔であるならば、平和台公園は似非心霊スポットだと思う。
平和の塔の歴史
平和の塔は1939年(昭和14)に紀元二千六百年記念行事の一環として造られ始め、1940年(昭和15)11月15日に落成した。
設計者は大分県臼杵市出身の日名子実三という彫刻家。
八紘一宇の字は秩父宮雍仁親王(昭和天皇の弟)が書いたものだった。
元々は平和の塔という名前ではなく『八紘之基柱(あめつちのもとはしら)』と呼ばれていたとの事。
紀元二千六百年記念行事の副総裁は近衛文麿だから、上述した基本国策要綱の八紘一宇に繋がっている。
この時期は『神国にっぽん』を内外に宣伝していた。
『八紘一宇の気持ちで一致団結!』という風にしたかったんだろうな。
国民よりあなたたちが一致団結しなさいよって思うけど。
第二次世界大戦終了後、GHQが『これは戦争の象徴だ!』と言い放ち八紘一宇の碑文と塔にある荒御魂像を撤去された。
現在は二つとも帰りかつての姿を取り戻している。
一時は平和の塔でロッククライミングする輩がいるくらい廃れていた時もあったとか…。
終わりに
平和の塔からの景色。
平和台公園がある丘の下に『陣の下』という地名がある。
『古戦場を匂わせる地名に曰く付きの原因があるのでは?』と予想したが、調べてみたものの特筆すべき事は無かった。
直ぐ近くに宮崎城があるのでその関係なのかな『陣の下』は。しらんけど。
コメント
紀元2600年というのも興味深いです。
二宮金次郎像が作られた地域もありますよね。
良く手入れされていないようで、煤けていてシルエットだけ見ると、
細めのサル山(悪い意味ではありません)のようで、
確かに、ロッククライミングしたくなるのも理解できます。
しかし、よくよく見ると、武神の像や細かな装飾。形も威風堂々としてますよね。
建てられてから80年(近く)文化的価値が出てくるかもと思いつつ。
そっか。心霊スポットという考えもあるのですね。~。
上総さん
二宮金次郎像はこの時期に多く作られたのですね!初めて知りました。
この塔はかなりの迫力です。数百年後に残っていれば立派な史跡になっていることでしょう。
『戦争関連=怖い=心霊』という式はありがちですね。
車での遠出旅行の際に、たまたま見たことがあります。
「八紘一宇」が戦争利用の言葉であれば、自主独立も、反植民地主義も、戦争に使われた言葉。平和団体を自称する集団が、反核問題で言い争いをして、真っ二つってこともあった。平和主義、反核運動も、(小さな)争いに使われた言葉です。
YS さま
コメントありがとうございます。
言葉の響きというかイメージというか、八紘一宇って何だかインパクトのある言葉だと私は感じました。
本来の意味を知れば、うつくしい日本語だと思う方も多いはずです。
様々な考え方がある以上、小さな争いは避けられません。
これが大きな争いに発展しないよう務めるのが肝心だと思います。
それが難しい故に今もなお戦争があるのでしょう…。