鬼怒川温泉の老舗旅館・きぬ川館本店へ!※内部の写真はありません

きぬ川本館

きぬ川館本店は1942年(昭和17)に創業された老舗旅館の廃墟である。

 

きぬ川本館

経営難により1999年(平成11)に閉業。負債総額は約三十億円とみられている。

 

きぬ川本館

1999年(平成11)6月12日に読売新聞に『きぬ川館本店』の倒産について書かれた記事があったので要約する。

同社は1927年(昭和2)創業の鬼怒川では老舗の温泉旅館。
客室数は65室、最大収容人員およそ350人。
かつては東武鬼怒川公園駅前にあり、大谷石を使った『かっぱ風呂』を前面に押し出して営業を行い、1975年(昭和)には10階建てに増築するなどしていた。

当記事では1927年(昭和2)を創業年としている。ネット上の情報では殆どが1942年(昭和17)としているため、序文ではそのように記した。

東武鬼怒川公園駅前に同社が運営していた『ホテル キャトルセゾン』がある。現在は分譲マンションとして利用されているという情報を見受けるが、新聞の文言を信じるのであれば『きぬ川館本店』の起源はここにあったのかもしれない。

ネットの物件情報によると『ホテル キャトルセゾン』の築年月は1988年(昭和63)8月。wikipediaではこのホテルを第二別館と紹介している。

いちのまる
いちのまる

この辺りのことについて興味深いコメントをいただいたので、一番下にあるコメント欄をご覧下さい!

きぬ川本館

高度経済成長期からバブルが弾けるまでは大いに稼いだようである。

ピーク時の営業収入は7億円台だったそうだが、バブル崩壊後は4億円台に落ち込んだと云う。

当時を知らない私はどんな感じだったのか父親に聞いた事がある。

『日本がノリノリだった頃は、会社の慰安旅行が本当に凄まじかった。それに合わせてホテルや飲食店の箱が大きくなってけど、そういう時勢じゃなくなったので、あんな感じになっちゃったのでは?(すごく楽しそうに話していた覚えがある)』

 

きぬ川本館

調子が右肩上がりの時は、ひっきりなしに客が訪れ金を落していくので、店舗を増やしたり、増築したり、はたまた新事業を立ち上げたり出来たのだ。日毎に数字が増え続けていくので、得も言われぬ恍惚感に浸れたであろう。

しかし、一度拡げてしまった事業を縮小するのは想像以上に困難である。

非情なリストラを踏み切らねばならないし、店舗を閉鎖するのにも莫大な金がかかる。閉鎖しないにせよ維持費はかかり続ける。資金潤沢な大企業でない限り赤字を垂れ流せば借金が膨らみ続ける。余程運に恵まれない限り再興は叶わない。

 

終わりに

きぬ川本館

きぬ川館本店は持ち主と連絡が付かず完全に放置されている。解体費用は6億円に上ると云う。

鬼怒川温泉にはこのような廃墟が点在している。

『一般の観光客が鬼怒川へ訪れ、これを眺めてどう思うだろうか?』

これを見て喜ぶのは私を含めた一部の界隈の変わり者だけである。

コメント

  1. カッパ より:

    はじめまして。
    記事を楽しく拝見させて頂きました。
    自分もきぬ川館本店を含め、鬼怒川温泉界隈の廃墟には興味があります。
    ネットやテレビで紹介されている情報で、「これは違うのでは?」と思う事があったりするので、「どれが正しいのだろう?」と思いながら見ています。

    >ネットの物件情報によると『ホテル キャトルセゾン』の築年月は1988年(昭和63)8月。wikipediaではこのホテルを第二別館と紹介している。

    まずこの情報で、キャトルセゾンの築年月は1998年8月であっていると思います。
    自分は2003年の1月頃にキャトルセゾンに宿泊したので、その時に確認しています。
    第二別館ですが、キャトルセゾンとは別物です。
    第二別館はいつ頃に廃業になったかは分かりませんが、跡地は「花の宿松や」が経営する人形の博物館になっているはずです。
    第二別館の跡地の事は、地元に住む方とネット上でやり取りした時に聞きました。

    きぬ川館本店が現役だった頃のパンフレットをオークションサイトで見たのですが、パンフレットに記載されている地図を見ると、以前は「星ヶ丘ホテル」というのも経営していた様です。
    地図からすると、ちょうどキャトルセゾンが建っている辺りに、星ヶ丘ホテルはあった様です。
    これは自分の推測ですが、星ヶ丘ホテルを潰したあとに、キャトルセゾンを建てたのではないでしょうか。
    これも地元に住む知人から聞いたのですが、今は無き「きぬがわ一柳閣(のちにホテル沢風になり、これも廃業)」の隣に長い間廃墟だった「ホテル公園閣(今は駐車場)」があったのですが、こちらも「きぬ川館本店」が経営していたそうです。

    テレビやネットでは、きぬ川館本店が倒産直前にオーナーが夜逃げしたと言われていますが、この情報も疑問に思います。
    2003年にキャトルセゾンに宿泊した時に、オーナーとその息子がキャトルセゾンで働いておりました。
    従業員の方が、「あれはオーナーのせがれです」と言っておりました。
    なので倒産直前にオーナーが夜逃げしたというのは違うのではないか?と思います。
    夜逃げしたならば、倒産後数年経ってからではないかと思います。
    廃墟が長年、取り壊されずに放置されているという事はオーナーと連絡が取れないという事なので、逃げたという事は間違いないとは思います。
    長々と失礼いたしました。

    • いちのまる より:

      カッパさん

      はじめまして!貴重な情報をありがとうございます。

      >跡地は「花の宿松や」が経営する人形の博物館になっているはずです。
      なるほどです。キャトルセゾンの南側にある建物かな。

      『きぬ川館本店』は手広くホテル経営をしていたのですね。
      当時は本当に羽振りが良かったのでしょう。

      >オーナーとその息子がキャトルセゾンで働いておりました。
      『きぬ川館本店』が閉館する後も働かれていたということですね。
      まさに盛者必衰の理をあらわす……。

  2. 匿名 より:

    お返事ありがとうございます。
    何だか長々と書いてしまったので、かえって分かりづらかったかな?と思っていました。
    参考になりました様で幸いです。

    • いちのまる より:

      すみません
      ブログを見れていなかったため返信が遅くなりました。
      貴重なコメントをいただいたので、コメント欄をご覧下さいと追記しておきました!
      ほんとうにありがとうございます。

  3. でん より:

    キャトルセゾンについて

    こんばんは。昨年、一昨年とこの建物が気になり通るたびに見ていました。
    不思議なことに日中は数部屋どなたかが住んでいるようで、洗濯物があるのを度々目にしました。入り口付近は閉ざされているものの、人の気配は感じるような状態でした。
    賃貸物件ではなさそうな感じはしますが、なんだか気になりますね

    • いちのまる より:

      でんさん

      こんにちは。
      不動産系のサイトに分譲マンションとして紹介されていたので、
      もしかすると入居者がいるのかもしれませんね。
      或いは物件の関係者が住まわれている可能性も?

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